芝浦工業大学 建築学部建築学科 教授 村上公哉先生インタビュー「大災害時ターミナル周辺地区および地下街の安全安心対策としてのオフサイトセンターの実証研究」(第1回)


BCD電源システムは、オフサイトセンター内に、重要施設や地下街のバックアップ電源を保有する仕組み、ということですね。BCD情報システムでは、どのような情報を管理するのですか。

 BCD情報システムでは、地域内の複数施設の管理者が各建物や施設の建築情報、設備情報、エネルギー需要情報、防災資源情報、そして災害時の被災状況や滞留者の状況といった情報を管理します。しかし、情報を管理するだけではなく、バックアップ電源の電気の供給対象施設や供給負荷の優先度を判断することが主な役割です。
 現在、バックアップ電源システムの運用を支援する情報共有データベースの構築方法を検討しています。

建築や設備などの専門家向けの情報から、備蓄品の受取口やトイレの場所など「被災者がすぐに欲しい情報」まで管理、さらにバックアップ電源の供給対象施設などの優先度を選別するということですね。

 滞在者向けの情報を伝達する手段としては、一時滞在施設における災害情報伝達システムとしてデジタルサイネージの整備が進められています。しかし、デジタルサイネージは画面の大きさから視認性の面など、不特定多数の人々に情報を伝達するには限界があります。そこで、デジタルサイネージに表示される情報をスマートフォンに同期配信するシステムおよび配信する災害情報コンテンツを検討しました。
 

デジタルサイネージは、最近駅周辺に構内図や企業の広告を提示していたりと、よく見かけるようになりましたね。さらに、情報をスマートフォンで配信するというのは非常に画期的なアイデアですね。

 私が以前主催した「まちづくりセミナー」の参加者を対象にアンケート調査を実施した結果、デジタルサイネージを活用した情報配信システム、およびそれを滞在者が保有するスマートフォンなどに同期配信システムのニーズがそれぞれ約50%、65%であることがわかりました。
 また配信する情報コンテンツとしては、トイレの場所、飲料水の提供、食料の提供、地震情報、鉄道の運行情報、携帯電話などの充電場所のニーズも総じて高かったです。

長時間のインタビューにお答えいただき、ありがとうございました。
次回はより詳細な調査研究結果と、結果をふまえた考察について、お話を伺います。