芝浦工業大学 建築学部建築学科 教授 村上公哉先生インタビュー「大災害時ターミナル周辺地区および地下街の安全安心対策としてのオフサイトセンターの実証研究」(第2回)
東日本大震災時、地下街は帰宅困難者の受け入れに重要な役割を果たしました。しかし、地下街は国有の施設ではなく、民間企業の善意に大きく依存しているのが現状です。
一回目のインタビューでは、地下街を含むターミナル駅周辺による、エリア単位での防災を支援するオフサイトセンターのもつ役割に関する調査研究の概要をお話いただきました。今回はそのご研究の結果と考察について、今度の課題や展望も含めて詳しくお伺いします。
一回目のインタビューでは、地下街を含むターミナル駅周辺による、エリア単位での防災を支援するオフサイトセンターのもつ役割に関する調査研究の概要をお話いただきました。今回はそのご研究の結果と考察について、今度の課題や展望も含めて詳しくお伺いします。
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研究室URL:https://www.kk.shibaura-it.ac.jp/murakami-lab/
まずは前回のおさらいとして、村上先生が大災害時のオフサイトセンターの実証研究をすすめておられる理由を、もう一度お教えください。
国や企業および社会に対して、エリア防災における地下街の有用性や課題などを理解してもらうことが目的です。
東日本大震災時、交通機関が麻痺し、帰宅困難者があふれたときに、彼らの滞在先として大きな役割を担ったのが地下街でした。しかし、地下街による帰宅困難者受け入れは、民間施設の善意に大きく依存しています。そして、現状多くの地下街の非常用電源は半日程度しか持ちません。
東日本大震災時、交通機関が麻痺し、帰宅困難者があふれたときに、彼らの滞在先として大きな役割を担ったのが地下街でした。しかし、地下街による帰宅困難者受け入れは、民間施設の善意に大きく依存しています。そして、現状多くの地下街の非常用電源は半日程度しか持ちません。
地下街は大災害時、一時滞在場所として大いに役立つ可能性がある。しかし、現状ではその役割を担うことは難しいということですね。
はい、私たちが日常使っている地下街には大きなポテンシャルがあります。しかし、それを活かすことが難しいという現状を、より多くの人に知っていただくために、今回の研究はあります。
今回は、オフサイトセンターの実証研究のための調査結果をお聞きしたいと思います。
全国的にヒアリング調査をされたのは驚きですね。
全国行脚はなかなか骨の折れるものでしたが、調査には学生なども協力してくれたので、和やかな雰囲気で疲れを感じることはありませんでした。
調査によって、現時点では帰宅困難者の約8割が屋外滞在者となると推測されました。
また、地下街が一時滞在施設として協定している地域は、11地域中2地域のみであり、その他5地域の自治体でも地下街の活用を考えており、これを合わせると64%になります。
一時滞在施設の要件のひとつである開設期間は、3日間が67%を占めており、受け入れ期間中、建築設備的に照明、空調、電源、雑用水などの建築設備的機能を確保する必要があることがわかりました。
調査によって、現時点では帰宅困難者の約8割が屋外滞在者となると推測されました。
また、地下街が一時滞在施設として協定している地域は、11地域中2地域のみであり、その他5地域の自治体でも地下街の活用を考えており、これを合わせると64%になります。
一時滞在施設の要件のひとつである開設期間は、3日間が67%を占めており、受け入れ期間中、建築設備的に照明、空調、電源、雑用水などの建築設備的機能を確保する必要があることがわかりました。
一時滞在施設の需要に対して、供給が釣り合っていないですね。
中には「一時滞在施設になるのは困る」という地下街もありました。
数百から数千人を3日間滞在させるのですから、当然コストがかかる上に、責任も生じます。
現状としては「行政のサポートなしに地下街を含むターミナル駅周辺のエリア単位での防災は難しい」と言わざるを得ないでしょう。
数百から数千人を3日間滞在させるのですから、当然コストがかかる上に、責任も生じます。
現状としては「行政のサポートなしに地下街を含むターミナル駅周辺のエリア単位での防災は難しい」と言わざるを得ないでしょう。