芝浦工業大学 建築学部建築学科 教授 村上公哉先生インタビュー「大災害時ターミナル周辺地区および地下街の安全安心対策としてのオフサイトセンターの実証研究」(第2回)


冬期は、特に電力が多く必要になる可能性がありそうですね。BCD情報システムの調査では、どのようなことが明かになりましたか。

 一時滞在施設や避難所および防災備蓄倉庫などの位置や施設内容、さらに周辺地区内の建物のエネルギー需要や設備などの調査を実施しました。
 これにより、まずはターミナル周辺地区内の災害時にエネルギー供給トリアージの対象となる支援施設情報を、災害時トリアージ用地理情報データベースとして一覧できる状態となりました。

ターミナル周辺地区によって、支援施設が一カ所に集まっていない場合などでも、スムーズに避難が可能になりますね。

 はい。しかし、一時滞在施設などの支援施設はまだまだ不足しています。ですので、今後、支援施設候補を検討していくことが社会的に重要だと考えています。

今後の展望についてお教えください。

 ターミナル周辺調査結果を踏まえ、BCD電源システム、BCD情報システムを実装段階にもっていくことを目標としています。
 BCD電源システムについては、災害時トリアージ用地理情報データベースを活用し、地下街と一時滞在施設における災害時トリアージレベル別の電力供給先とその電力需要量を推計する手法を検討します。
 また、過去2年間の研究成果を元に、災害時トリアージ用地理情報データベースと既存地域冷暖房連携BCD電源システムまでを統合的に計画できるエネルギーシステムシミュレーションツールを開発します。

BCD電源システムの実装がより現実的なものとなってきそうですね。デジタルサイネージミラーリングシステムの進捗はどうですか。

 情報配信システムは完成しておりますので、次は実装実験の段階です。
 また、配信する情報コンテンツの内容の検討とそれら情報配信画面デザインを開発します。
 「デジタルサイネージミラーリングシステム」と「平常時と災害時の情報コンテンツ」を総合的に構築し、地下街あるいは一時滞在施設に実装します。
 一連の研究成果を元に、区(市)、地下街管理者、建物の施設管理者などとのワークショップを、継続していきたいと考えています。
 地下街のもつポテンシャルを、BCD電源システムやBCD情報システムを活用した、エリア防災拠点としてのオフサイトセンターという形で発揮することが、大災害時の帰宅困難者の一助になることを願っております。

最後にセコム科学技術振興財団へのメッセージをお願いします。

 セコムの助成研究は科学技術系の研究が中心かと思います。そんななか、このような社会系の研究に助成をいただけることに感謝しております。

大災害が起こった場合、私達はどうなってしまうのかという現状を、
もっと多くの人に知って貰う必要性を感じました。
長時間のインタビューにご協力いただきありがとうございました。