神戸大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 深尾隆則先生インタビュー「自律型飛行船ロボットを用いた自動情報収集・提示システムの構築」(第1回)
大地震のような災害が起こった直後、もっとも大切になるのは「どこで」「どのぐらいの」被害が起こったのかを正確に情報収集し、のちの対策に役立てることです。その手段はいろいろなものが模索されていますが、いまだこれといった方法は確立されていないのが現状です。神戸大学大学院の准教授深尾隆則先生は、アメリカにて最先端かつ実践的なロボティクス技術を学び、帰国後はその技術を災害時の情報収集に活用しようと、飛行船をつかっての実用化を模索されています。深尾先生に直接お話を伺いすることにしました。
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<研究室URL>
http://www.research.kobe-u.ac.jp/eng-complex/
http://www.research.kobe-u.ac.jp/eng-complex/ja/fukao/
まず始めに、先生のご専門分野についてお教えください。
もともとドクター時代に、ビークルの制御やロボティクスを研究していましたが、最新の研究をしているにもかかわらず、数式を中心にしていたこともあって、企業等が理解を示してくれないことに若干の不満をいだいていました。そんなとき、カーネギーメロン大学の金出武雄先生の講演を聞く機会があり、理論だけでなく実践でロボティクス技術を推し進めておられる姿勢に共感を受け「先生の元で学ばせていただきたい」とお願いしたのがはじまりです。
カーネギーメロン大学には、どれぐらい在籍されたのですか
ちょうど9・11のテロが終わった直後から、1年9カ月ぐらいでしょうか。アフガニスタンの上空には、偵察用に係留型飛行船が使われているという事実が示すように、金出先生が獲得を狙っておられた研究予算は、軍事的なものだったようですが、おかげで飛行船を飛ばす制御の技術を学ぶことができました。
また帰国後は、JAXAで成層圏プラットフォームと呼ばれる、大型の飛行船を研究開発している大学の同級生や先輩などを訪ねたりして「予算さえつけば、プロジェクトを完成させることができる」という自信を深めていきました。
また帰国後は、JAXAで成層圏プラットフォームと呼ばれる、大型の飛行船を研究開発している大学の同級生や先輩などを訪ねたりして「予算さえつけば、プロジェクトを完成させることができる」という自信を深めていきました。
今回の研究テーマを選ばれた動機についてご説明ください。
災害時の上空からの情報把握となると、ヘリコプターを飛ばせばいいんじゃないでしょうか。
飛行船による情報収集というのは、意外な気がします。
飛行船は、ヘリウム充填済みなら、すぐに出動できます。低空に長時間、滞空しつづけることができるので、都市部での情報収集にひじょうに適しています。これまで屋外型飛行船ロボットを使った他の国での研究プロジェクトは数例ありますが、試験的な飛行しか行われておらず、また情報を把握するためのカメラなどが搭載されていないため、実用には遠く及んでいませんでした。それなら、私たちが世界をリードしていく研究をしてやろうという意気込みでスタートしたのです。