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  2020年1月17日(金)に、本領域に関するセコム財団主催シンポジウム
AI時代の新しい医学の挑戦」を開催しました。
領域代表者
桜田 一洋 先生

理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム
副プログラムディレクター

共同代表者
古関 明彦 先生

理化学研究所 生命医科学研究センター
副センター長

生命科学・医学では分子レベルでのミクロの原理から疾患形質というマクロの性質を説明するのに統計学的手法を用いてきた。しかし統計処理によって個体の個別性が捨象され、多因子疾患の治療において多数の患者で標準療法が効かないという問題を生じている。統計解析では個別性の捨象に加えてミクロとマクロの関係を線形の近似によって説明してきた。しかし生物は非線形システムであり線形近似は特定の条件でしか成り立たない。その結果論文の結論が再現しないという問題が増加している。

現在の生命科学・医学の課題を克服するには生物の多様性、非線形性を反映した研究プラットフォームが必要である。本プラットフォームを確立するには実験系ならびに解析法に関する新しい基盤技術が必要である。このような技術を開発するにはこれまで軽視されてきた階層の非分離性に注目した研究を行わなければならない。例えばがんの領域であれば従来の体細胞変異仮説に変わり、組織編成フィールド理論が提唱されている。このようなミクロとマクロの中間の階層のモデル化によって多階層問題を解決できる可能性がある。

本研究領域では実験動物、細胞モデルなどの解析を組み合わせて組織の階層から疾患をモデル化する研究提案を募集する。組織階層のモデル化においてシステムの非線形性あるいはエピジェネティックスと遺伝的な多様性が組み込まれたものが望まれる。