情報通信技術(ICT)の進展とモノのインターネット(IOT)の普及により、大量のデジタルデータの生成、収集、蓄積が進んでいます。このような変化のなかで、保健医療分野でもデジタルトランスフォーメーションが求められています。

医療の高度化が進む一方で、国内では自分が健康だと思っている人は35%に過ぎません。WHO憲章の前文に「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいう(日本WHO協会訳)」と書かれているように、効果のある個別化された健康サービスや予防医療を実現するには、身体状態だけではなく精神状態や社会的状況などの多様なデータを取得し、横断的に解析する必要があります。

現時点でこのようなDeep Phenotypingの手法が確立しているわけではありませんが、従来の機械になぞらえた線形近似(メカニズム)の推論では非線形システムである生命現象の時空間特性を適切に表現できないという見方は強まってきています。そのため、生物の非線形性を反映した形で「時空間特性の類似性に基づく分類法」や「状態変化の予測方法」を開発する必要があります。このとき数理モデル、機械学習、深層学習などのAI技術が重要な役割を担います。

セコム科学技術振興財団の特定領域研究助成では、「多階層医学プラットフォーム構築のための基盤技術開発」(領域代表者 桜田一洋 先生/共同代表者 古関明彦 先生)の研究助成を平成29年度より実施してきました。

本研究領域では、異なる階層のデータを繋ぐ統合的研究手法の確立を目指し、多階層医学プラットフォーム構想を提唱し、研究を推進してきました。研究開始後2年が経過し、早期卵巣がんの患者が将来癌を再発するかしないかを血液検査だけから予測する方法などを開発しました。これは情報幾何学という手法を用いて患者のデータを分類することで実現しています。

そこで、この多階層医学プラットフォームを基に、AI時代の新しい医学の挑戦について討論を行うシンポジウムを開催致します。

多くの皆様のご参加をお待ちしております。

開催趣旨

公益財団法人セコム科学技術振興財団では、平成28年度より40歳未満の若手研究者を対象とした挑戦的研究助成制度を実施しております。本助成制度では、「最先端科学のELSI(社会・倫理・法的側面)」を重要なテーマの一つとして位置づけており、宮下 紘 先生(中央大学・総合政策学部・准教授)による「超スマート社会におけるプライバシー保護の法政策研究」(平成29年度~平成31年度実施)にも助成しています。

本研究課題は、人工知能がもたらす社会への影響について、プライバシー保護の観点から日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国の法制度について比較検討を行い、プライバシーを保護しつつデータ利活用するモデルケースを提示し、法政策提言を行うことを目的としています。

令和2年(2020年)に予定されている個人情報保護法の改正に向けて、プライバシー保護に関する関心が高まっていることなどから、プライバシー保護の観点から日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国のそれぞれの法規制の最新動向を紹介・比較検討を行うシンポジウムを開催致します。

多くの皆様のご参加をお待ちしております。

概要 

主催 公益財団法人 セコム科学技術振興財団
日時 令和2年(2020年)1月17日(金)14:00~ (13:30開場) ※終了後に懇親会を開催(有料)
会場 秋葉原UDXカンファレンス(UDXビル6階/秋葉原駅徒歩2分)
アクセス方法は、秋葉原UDXカンファレンスのサイトをご覧下さい。
懇親会は、同会場にて開催。
参加費 無料(要事前登録)※懇親会への参加は一人1,000円を頂きます。
主な対象者

AI時代の新しい医学のヒントを得たい研究者・研究者を目指す方

参加方法 下記の「参加登録フォーム」より事前登録をして下さい。
※懇親会参加希望者は、参加登録フォームにて「懇親会参加希望」にチェックを入れて下さい。
※定員に達した場合、事前登録を締め切ります。あらかじめご了承下さい。

プログラムPDF

14:00~14:05 開会挨拶
14:05~14:10 領域代表者 挨拶
桜田一洋(理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム 副プログラムディレクター)
14:10~14:50

基調講演
古関明彦(理化学研究所 生命医科学研究センター 副センター長) 

「複雑な病気を単純なものとして捉えることができるか?」

14:50~15:30

講演
川上英良(理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム チームリーダー) 

「予防・個別医療に向けた時系列マルチモーダルデータに基づく状態遷移予測モデル構築」
15:40~17:10

 パネルディスカッション 

「AIを駆使して病気のリアリティーに迫る ~新しい科学が拓く地平~」
【モデレーター】
桜田一洋(理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム 副プログラムディレクター)
【パネラー】
古関明彦(理化学研究所 生命医科学研究センター 副センター長)
合原一幸(東京大学 大学院 情報理工系研究科 教授)
垣見和宏(東京大学 大学院 医学系研究科 特任教授) 

川上英良(理化学研究所 医科学イノベーションハブ推進プログラム チームリーダー) 

岩見真吾(九州大学 大学院 理学研究院 准教授)

 

17:10~17:15 閉会挨拶
17:30~ 懇親会(有料、要事前登録)
※プログラムは予告なく変更となることがあります。あらかじめご了承下さい。

問合せ先

公益財団法人 セコム科学技術振興財団 事務局 

Email: sstfoundation@secom.co.jp   TEL: 03-5775-8124 / sstfoundation@secom.co.jp

(参加登録に関する問合せ先は、03-3824-7231 / touroku_s@try-sky.com (株)トライ(登録業務委託先)までお願いします。)


本シンポジウムは、当財団・特定領域研究助成「多階層医学プラットフォーム構築のための基盤技術研究」 

(領域代表者 桜田一洋/共同代表者 古関明彦)の普及啓発を目的としています。