領域代表者
西田 佳史 先生

東京工業大学 工学院機械系
教授

 

人生100年時代を迎えようとしており、新たな社会的課題が生じている。2015年に国連で採択された持続可能な開発のための目標(SDGs)でも、あらゆる年齢や障害を持った人の安全性確保、サービスへのアクセスの確保、それらに配慮された都市のデザインの必要性などが指摘されている。一方で、インターネット、SNS、有効利用されてこなかったビッグデータなどを用いて社会現象を観察することや、スマートホーム技術、人工知能技術を活用して生体や生活現象を計測することで、マクロスコピックな情報とミクロスコピックな情報を統合し、これまで手に負えなかった課題を手に負える問題へと変えていくアプローチが可能になりつつある。

生活に関わる解決すべきテーマとしては、例えば、高齢者の健康をモニタリングすることで働き続けることを支援する機能、安全に外出機会を増大させる移動支援機能、心身機能が変化する生活者の安全確保を支援する機能、ソーシャルディスタンス環境下で消費者被害を防止するフィードバック機能、メンタル又はフィジカル面での苦痛などを緩和して快適化するセンサ・アクション機能などが挙げられるが、これはいずれも、人間情報と社会情報の統合によって課題解決が図られるべき課題である。

本領域では、具体的な安全・安心に関わる課題(上述の例に限らない)を設定し、科学技術、新たな考え方の普及、社会システムづくりの相互作用に基づく社会実装を進める研究提案を募集する。提案にあたっては、ヘテロな情報の活用技術、計測技術、シミュレーション技術、可視化技術の要素技術開発だけではなく、これらを有機的に統合する技術の面、それによって得られる情報を現場や市民にフィードバックする社会システムの面、新たな人間情報や社会情報を扱い、また、現場からの評価を受けながら新たな課題解決の考え方を修正していくための適切なステイクホルダーを含む体制づくり面からの多面的な提案を期待する。