静岡大学 創造科学技術大学院 情報科学専攻 教授 杉浦彰彦インタビュー「ワイヤレスパーソナルエリアネットワークを用いた知的環境認識の獣害対策システムへの応用」(第1回)
実際の猿の位置がわからないのに、誤差をどのようにして計測したのでしょうか。
GPS、通信端末の両方を持った被験者に、猿と同じ実験区域のなかを歩いて横断してもらいました(左図)。GPSによる位置と、APによる位置の両方を知ることによって、誤差が確認できるからです。
誤差が小さくなると、誤報の数が減ります。助成をいただいた1年目「準備研究」の段階で、誤差をかなり縮められたことで、実用化への道筋がおおよそ見えてきました。
ただ、位置精度は向上しましたが、実験に至るまでの前段階で意外な苦労がありました。例えばAPの電源です。太陽光パネルを搭載したりしましたが雨や曇りとなると電気が供給できません。供給できない時間は欠測が発生します。他にもネットワークの問題などもあり、当初実験で監視できたのは全実験期間のうち約86%に過ぎませんでした。
誤差が小さくなると、誤報の数が減ります。助成をいただいた1年目「準備研究」の段階で、誤差をかなり縮められたことで、実用化への道筋がおおよそ見えてきました。
ただ、位置精度は向上しましたが、実験に至るまでの前段階で意外な苦労がありました。例えばAPの電源です。太陽光パネルを搭載したりしましたが雨や曇りとなると電気が供給できません。供給できない時間は欠測が発生します。他にもネットワークの問題などもあり、当初実験で監視できたのは全実験期間のうち約86%に過ぎませんでした。
その数字はよい数値、悪い数値どちらになるしょうか。
悪いといわざるを得ません。というのは残り14%の時間で猿がやって来て作物を食い荒らす可能性が高いからです。そこで太陽光パネルを止め、安定的な電源を確保することにしました。猿害があるところには、猪や鹿の害を併発していることが多く、電磁線などを引き、動物がふれると驚かせる程度の電流が流れるようになっています。林業用の山小屋もあります。そのような設備があるところでは、たとえ奥深い山中であっても、探せば電源を確保できる環境でした。また山間部でも利用できるモバイル回線を積極的に利用しました。安定的な電源とネットワーク環境を確保できたおかげで、実験期間に対して約98%という長時間の監視が可能になりました(写真は太陽光パネルを使用しない現在のAPの内部)。