男性更年期障害の予防対策のためのウェアラブルシステムの社会実装
孫 輔卿 先生

東京大学 多様性包摂共創センター 准教授

今後の展望について教えてください。

本研究では、疲労感を高齢女性のフレイル早期検知のツールとして扱いましたが、認知症の早期発見にも活用できる可能性があると考えています。フレイルも認知症も、老化の進行によって発症リスクが高まります。また、認知症にも性差が存在し、アルツハイマー型認知症は女性に多いことが知られています。認知症の手前の認知機能障害に女性特有の疲労感が関わることは十分に考えられます。

ただし、フレイルの発症には、ジェンダー役割の違いなど社会的な要因がより強く関わることがわかっています。そのため、疲労感によるフレイルの発症と認知症の発症の相違点をどこまで明らかにすることができるかはまだ不明です。しかし、未だ解明されていない認知症発症の詳細なメカニズムが明らかになり、疲労感との関連性を見出すことができれば、本研究の応用で早期検知できるようになると期待しています。

また、疲労感は性別・ライフステージを問わず発生するもので、様々な不調のきっかけになっている可能性があります。そのため、今後は男性や若年層の疲労感を測定できるモデルも開発し、疾患や障害などの早期予知や予防につなげていきたいと思っています。

本研究では各分野の専門性を発揮しながら、協力し合って研究を進めることができた。その甲斐あって、多くの知見が得られている

ありがとうございました。それではこの特定領域研究助成に応募したきっかけと、ご感想をお聞かせ願えますか。

東京大学には、セコム科学技術振興財団の研究助成を受けられた先生が大勢いらっしゃるため、自由度が高く、潤沢な助成金と手厚い支援がいただけると評判になっていました。私自身、実際に共同研究者として関わったことがあり、いつかは応募してみたいと考えていました。

疲労感には性差があり、フレイルの性差と深く関係しているのではないかという見通しが立ち、本格的に研究を進めていきたいと考えていた頃、その年の特定領域研究助成のテーマに「ジェンダード・ヘルスサイエンス」があることを知り、応募しました。採択していただき本当に嬉しかったです。

一人の高齢者から多様なデータを取得する必要があり、特にバイオマーカーの探索には、費用がかさみました。しかし、手厚くサポートしていただいたおかげで、意義深い研究に取り組むことができました。深く感謝しています。

面接では、ジェンダード・イノベーションをはじめ、工学系や医学系など、様々な分野の先生に研究意義をアピールすることができた。学際的なアプローチの可能性についても、ご理解いただけたと感じられた

最後に、これから申請される研究者へのメッセージをお願いします。

申請書づくりや面接では、ご自身の研究の意義や重要性、また研究に対する熱意をアピールすることが大切だと思います。これがうまく伝えられれば、きっと採択に繋がるでしょう。

素晴らしい助成制度なので、取り組みたい研究が公募テーマにフィットする場合は、迷わずチャレンジしてほしいと思います。

急速な高齢化が進む中、疲労感を早期に発見できるようになることで、フレイルを防ぎ、安全安心な社会の実現につながることを期待しております。お忙しい中インタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました