
東京大学 副学長/附属図書館長/情報理工学系研究科 教授
静岡大学 学術院情報学領域・情報学部 行動情報学科
教授
狩野 芳伸 先生
早稲田大学 理工学術院 基幹理工学部 情報理工学科
教授
佐古 和恵 先生
大阪大学 大学院 工学研究科 電気電子情報通信工学専攻
教授
宮地 充子 先生
一橋大学 ソーシャル・データサイエンス教育研究推進センター
教授
寺田 麻佑 先生

私たちの社会は、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)が高度に融合した超スマート社会(Society5.0)へとすみやかに向かいつつあります。パソコンやスマートフォンだけでなく、自動車や医療機器、プラントや家電品などあらゆるものがインターネットに接続され、ネットの向こう側に置かれたクラウドサーバ群とともに、情報を収集・交換・処理・出力することで世界が動いていく、そういう世の中がもうすぐやって来ようとしているのです。
そんな超スマート社会が進展すればするほど、重要になるのが個人や組織の安全・安心の確保です。フィッシングによる情報詐取、ランサムウェアによる恐喝、標的型攻撃による機密漏洩やプラント停止、大規模DDoS攻撃による金融システムや国家機能の麻痺など、世界中の国々・世界中の人々がサイバー攻撃の脅威にさらされています。こうした攻撃は日々に高度化・多様化し、攻撃対象は広範になり、国家や大規模テロ集団の関与が疑われるものが増え、被害は大きくなり続けています。自動運転車が公道を往来し、遠隔医療が日常的に行われる近未来には、サイバー攻撃の被害は、さらに多くの社会組織に及び、また人命にまで及ぶようになっていくでしょう。
超スマート社会の安全・安心を守るためには、これまでも言われてきたように、暗号の強化やソフトウェア脆弱性の除去などの技術、サイバーセキュリティ基本法や個人情報保護法などの法律、組織マネジメント、教育など、多くの分野の研究開発が必要であり、またこれらの分野が協力・協業することが必要です。しかし、それ以上に重要なのが、新しい社会でどのような「悪」が企てられているのか、そのありかや動機や目的を探り、来たるべき攻撃を予知することです。これによって、どのような攻撃が誰に対していつ仕掛けられるのかが高い蓋然性をもって予測でき、防御や回復のための手段を講じることができるようになります。そこから先は、技術と法律の世界になるわけです。
本領域では、文理融合によって、超スマート社会の安全・安心を飛躍的に高める研究を募集します。そのために、テーマとして以下の項目をすべて満たしていることが要件となります。