青山学院大学 理工学部 情報テクノロジー学科
ユーザー一人ひとりに、システムを「第三者の目」として活用してもらうことを目指しています。逆説的ですが、実は、このようなサポートシステムを使わないことが最終的な理想の姿と考えています。
サポートシステムの利用は、自分の状況を見返す機会になります。生体計測の結果を知り、このようなときにリスク通知が届いて、水分補給すると体調が改善する。その体験を繰り返すうちに、やがて、通知がなくても適切なタイミングで水を飲んだり、休憩したりできるようになる。それこそが人間にとって本当の健康ではないでしょうか。
システム全体の精度を上げる研究は、もちろんこれからも続けます。
一方で、ユーザーがどのような使い方をするのか、どんなフィードバックが効果的かは、実際に使ってもらわないと分かりません。今後は現実的な環境で利用データを集める機会を増やしたいです。そのためには協力企業や協力現場が必須です。このシステムの有用性に共感してくれて、長期的なビジョンを共有できるパートナーを探すことにも力を入れたいと考えています。
研究助成制度のなかでは金額が桁違いに大きく、様々な面で助けられています。
私の研究は人間を対象とするため、多くの被験者の協力が必要です。初めは研究室の学生でデータをとっていましたが、去年は公募して、これまであまり取れていなかった世代の男女からもデータを集めることができました。一般の人を被験者とする実験は、応募の管理や被験者への対応、実験の準備に時間がかかりますし、協力してくれる学生たちの負担も増えました。しかし、それらの活動を支える十分な予算があったため、安心して実験を進めることができました。
全体を通じて、私だけでなく、協力してくれる学生やスタッフの活動もサポートできる、柔軟性の高い助成金と感じています。システムの実用化に向けて大きく前進することができて、感謝しています。