現在研究実施中の領域(令和3年度採択)

先端数理分野
領域名 先端数理に基づく安全・安心な社会実現のための将来予測・因果解析技術の開発とその実装
領域代表者合原一幸(東京大学 特別教授/名誉教授)
研究構想

昨今のコロナ禍によって、社会の持続的発展のための基盤が意外にも脆弱であることが露わとなりました。人々が安全・安心に暮らすことが出来る社会を実現するためには、社会課題に対してその時々に緊急に対処するのではなく、社会の様々な変動を時系列としてとらえて、将来予測技術や因果解析技術に基づいて統合的・予見的に対処するシステムの構築が求められています。

本特定領域研究は、デジタル変革における共通基盤としての「数理」の分野横断性に基づいて、健康、感染症、社会インフラ、経済、環境、エネルギーなどの多様な複雑社会現象を解明し、関連する諸問題を総合的に解決する数理基盤を構築するために、安全・安心社会の実現に資する基礎となる数理的研究開発を目指すものです。

「数理」が貢献できる研究テーマは広い分野をカバーしますが、本特定領域研究では特に、安全・安心な社会実現のためのICT・ビッグデータと将来予測・因果解析技術との融合にフォーカスして、最終的に社会実装に結び付くような数理的研究テーマを募集します。また、研究参加者が各々個別に研究するのではなく、相互に交流することによって数理的シナジー効果が生み出されることも期待しています。

選考員 合原一幸(東京大学 特別教授/名誉教授)
小谷元子(東北大学 理事・副学長(研究担当))
鈴木秀幸(大阪大学 大学院情報科学研究科 教授)
実施課題 ・水害・雪害対策のための信頼できる連続的データ処理基盤の確立
 (長岡技術科学大学 岩橋政宏 教授)
・Physical Reservoir Computingにおける数理基盤の構築
 (東京大学 中嶋浩平 准教授)
・エッジ領域で運用可能な高精度・高エネルギー効率を実現する予測モデルの構築
 (千葉工業大学 酒見悠介 上席研究員)
・障害への統合的に高い頑健性を有する動的システムを構築する為の数理的基盤探索
 (九州大学 森野佳生 准教授)
・環境ダイナミクスを活用したリスク変動のリアルタイム予測技術の開発
 (東北大学 安東弘泰 教授)
・逆問題解の時空間分離同定法と非侵襲計測・非破壊検査への応用
 (東京大学 奈良高明 教授)
実施課題の所属・肩書きは、採択時のものです。
チームワーク科学分野
領域名 チームワークに関する革新的な研究アプローチの確立と分野横断的研究領域の創出
領域代表者 堀井秀之(i.school エグゼクティブ・ディレクター
     /(一社)日本社会イノベーションセンター(JSIC)代表理事
     /東京大学 名誉教授)
研究構想

コロナ禍によりリモートワークが一気に普及したが、生産性を上げられる人とそうでない人に分かれた。コロナ禍の終息後も、リモートワークを定着させる企業と元に戻る企業に分かれるものと思われる。リモートワークを定着させ生産性を上げることは、企業が厳しい競争を生き残る一つの方策である。そのためには、オンラインで組織をチームとして機能させることが課題となる。チームワークに関する科学的な知見を蓄積することは、このような課題を克服するために有効である。

チームとは、チーム目標、成員間の協力と依存、各自の役割、明瞭な境界の4条件を満たす集団であり、チームワークとは、チーム全体の目標達成に必要な協働作業を支え、促進するためにメンバー間で交わされる対人的相互作用を指す。チームワークはあらゆる分野における人間活動の基本であり、チームワークに関する研究は分野横断的研究となる。チームワークを捉える視座も多様であり、心理学、経営学、教育学、工学等からのアプローチが存在する。

チームワークに関する研究は、個別の対象分野と学問領域において進められているが、急激に顕在化した社会的なニーズと分野横断的研究の重要性を考えれば、様々な分野の研究者が協働することによって開拓されるべき、これからの有望研究領域になりうると考えられる。

本領域ではチームワークに関する革新的な研究アプローチの提案を募集します。助成期間中は、毎月1回オンライン研究会を開催し、様々な研究領域の研究者の革新的な研究アプローチを比肩しあい、協働研究の可能性を探り、研究アプローチの有効性を検証することを通じて、チームワークに関する新たな分野横断的研究領域を創出することを目指します。

本領域で想定する主な助成対象者 若手研究者、これから自分の研究領域を確立する、あるいは、新たな研究領域を模索する段階にある研究者など。
接合性の高い既存領域の例 イノベーション教育、アントレプレナーシップ教育、リーダーシップ、コミュニケーション、 コーチング、カウンセリング、組織論、行動経済学、熟慮型民主主義・政治学、人工知能研究、 認知心理学、脳科学など。
選考員 堀井秀之(i.school エグゼクティブ・ディレクター
     /(一社)日本社会イノベーションセンター(JSIC)代表理事
     /東京大学 名誉教授)
山口裕幸(九州大学 大学院 人間環境学研究院 人間科学部門 心理学講座 教授)
大島 純(静岡大学 大学院 総合科学技術研究科 情報学専攻 教授)
稗方和夫(東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 人間環境学専攻 人工環境学講座 准教授)
実施課題 ・イノベーション教育のための自然言語処理によるチームワークのリアルタイムモニタリング方法の開発
 (東京工業大学 田岡祐樹 助教)
・社会課題解決のためのアントレプレナーシップとそれを支えるチームワークに関する研究
 (琉球大学 前田貴洋 講師)
・ビジネス企画チームにおける多元的視点取得の研究
 (東京都立大学 竹田陽子 教授)
・チームワークが醸成する信頼 ~ハイブリッド型PBLを手掛かりに~
 (愛知学院大学 油井毅 講師)
・知識創造活動における熱中対話の先行条件とその効果:視聴覚データを活用して
 (東京大学 彭思雄 博士後期課程)
・リーダーシップとフォロワーシップの創発に関する研究
 (早稲田大学 鬼頭朋見 准教授)
実施課題の所属・肩書きは、採択時のものです。