令和8年5月25日 令和7年度 挑戦的研究助成 研究成果報告会および研究助成贈呈式を開催

令和8年5月25日(月)、東京・千代田区の東京會舘で、令和7年度挑戦的研究助成の研究成果報告会および研究助成贈呈式が開催されました。会場に来られない一部の先生のためにオンラインを併用したハイブリッド開催とし、セコム財団関係者約30名が参加しました。

当日は、上田理 代表理事・理事長代行の挨拶より開会し、最初に研究成果報告会が行われました。

(左)開会の挨拶をされる上田理 代表理事・理事長代行

セコム財団の挑戦的研究助成は、40歳未満の若手研究者による新しい領域開拓への挑戦を支援する研究助成です。研究の助成に加えて、研究の方向性の議論など、研究者の育成という面からも支援を行っています。

研究成果報告会では、これまで研究を進めてこられた以下の7件の課題について、研究代表者の先生より成果報告が行われました。

  • 後藤 信一 先生(東海大学)「シャツ型心電計による患者主体の心疾患検出基盤〜AI連合学習による医療データ活用〜」
  • 高山 厚 先生(京都大学)「医療ビックデータの融合によるデジタルツインを利用した仮想介入試験の実現」
  • 岡田 雄大 先生(京都大学)「患者発の情報に基づくCOVID-19レジストリを活用した流行分析と予防効果推定」
  • 新村 貴博 先生(徳島大学病院)「大規模医療情報およびオミクスデータを活用したサルコペニア治療法の構築」
  • 宮本 潤基 先生(東京農工大学)「加齢性代謝疾患における腸内細菌の関与と治療基盤の確立」
  • 野澤 佳世 先生(東京科学大学)「人工細胞を利用したゲノム三次構造の立体構造解析」(※)
  • 森永 浩伸 先生(名古屋大学)「ゲノム不安定性を誘発する環境因子による、皮膚の老化・がん化メカニズムの解明」

(※野澤先生はオンラインでのご参加)

報告をされる先生
(上段左から、宮本先生、野澤先生、森永先生、下段左から新村先生、岡田先生、高山先生、後藤先生)

各先生の発表の後には、担当していた選考委員から温かいコメントがありました。会場からも質問が出て活発な議論が展開されました。

続いて研究助成贈呈式では、令和8年度に新しく採択された9名の先生方へ目録の贈呈が行われました。

  • 張 彰 先生(東北大学)「多施設・非IID医療データの不均衡を考慮した公平性指向連合学習基盤の構築」
  • 中山 正光 先生(東海大学)「心電図AI普及のための電位生成技術 ― 連合学習による個人情報保護と積極的利用の両立」
  • 西田 一貴 先生(名古屋大学)「個人情報を守る生成AI・連合学習による医療データの国際共有」
  • 萩原 賢太 先生(生理学研究所)「恐怖記憶回路可塑性の光学的解析」(※)
  • 小坂田 拓哉 先生(東京科学大学)「ライフサイクルにおける可塑的な社会適応を制御する脳内基盤とその破綻」
  • 三宅 崇仁 先生(関西学院大学)「体内温度のマルチスケール解析に基づく生命機能の階層的理解」
  • 山本 展彰 先生(横浜国立大学)「プラネタリーディフェンスをめぐるELSI研究基盤の構築」
  • 丸岡 輝 先生(一橋大学)「イランにおけるイスラーム的「生命倫理」の展開:臓器移植の合法化と実践」
  • 井上 大 先生(茨城大学)「機能性材料MOF(Metal Organic Frameworks)を用いた環境熱から駆動する自律型分散電源開発」
(※萩原先生はオンラインでのご参加)

目録の贈呈

報告会と贈呈式の終了後、会場をうつして懇親会が開催されました。懇親会は佐々木信行 代表理事・理事長の祝辞から始まりました。

祝辞を述べる佐々木信行 代表理事・理事長(左)と須藤修 理事(右)

セコム財団の理事・選考委員である須藤修先生からは、行動経済学の基礎を作ったダニエル・カールマンの直観(システム1)と推論(システム2)による二重過程理論を引用し、自身と異なる分野の研究者と議論する大切さを話されたうえで、「挑戦的研究助成はメンター制度をとっているが、メンターとの議論をきっかけに研究が一気に進む、または別の方向が見えてくることがある。ぜひ活用してほしい」との激励のお言葉がありました。

異なる専門分野やバックグラウンドをもつことから、初めは少し緊張しているようでしたが、世代や立場が近いということもあり、すぐに打ち解けていました。会場には新しく採択された課題の研究内容を紹介したパネルが展示され、他の研究者との意見交換やディスカッションも活発に行われました。

盛り上がっていた懇親会

懇親会では新しく採択された課題の研究内容を紹介したパネルが展示されました

途中で各先生から一言ご感想をいただきました。贈呈を受けられた先生からは「面接審査で厳しい指摘を受けたが、それをふまえて進めていきたい」「本日の報告内容を聞いて自身の研究が大丈夫かと不安になったが、3年後に本日のような報告ができるように進めていく」「自身は法学が専門だが、科研費以外で人文社会科学分野に助成をしているところは少ない。セコム財団には感謝している」「伝統的な道徳規範(宗教)は新しい科学技術や医療と齟齬をきたすことが多いが、齟齬があるうえで新技術を実践している地域がある。人々がいかにしてその意義を受け入れているのか明らかにしたい」などとこれからの意気込みが聞かれました。

助成期間が終わり成果報告をされた先生からは「メンター制度により有意義なフィードバックを沢山いただいたことに感謝している」「研究の方針転換をおこなったが、3年間の助成期間があったからこそ可能だった。他の助成は1年間が多いが、この助成期間の長さに感謝している」などと感謝が述べられました。

研究分野は違っても同世代の研究者が集まったということもあり、お互いにつながりを深めて、将来の交流の可能性を広げる貴重な機会となりました。


(前列左から)須藤修 理事、川上英良 選考委員、黒田玲子 理事、佐々木信行 代表理事・理事長、塩見美喜子 選考委員、上田理 代表理事・理事長代行と、(後列が)成果報告をされた先生

(前列左から)宮田満 選考委員、須藤修 理事、川上英良 選考委員、黒田玲子 理事、佐々木信行 代表理事・理事長、塩見美喜子 選考委員、瀬川浩司 選考委員、上田理 代表理事・理事長代行と、(後列が)贈呈を受けられた先生