令和8年3月10日 令和7年度 特定領域研究助成 研究成果報告会および研究助成贈呈式を開催
情報セキュリティの領域で新たな研究プロジェクトがスタート

令和8年3月10日(火)、東京都千代田区の東京會舘で、令和7年度特定領域研究助成の研究成果報告会および研究助成贈呈式が開催されました。セコム財団関係者約30名が参加しました。

セコム財団の特定領域研究助成は、財団が推進したい研究領域を指定する財団主導型の助成です。その領域の研究統括を担う領域代表者が示す研究構想に沿う研究課題に支援を行っています。

当日は、上田理 代表理事・理事長代行の挨拶より開会し、最初に研究成果報告会が行われました。

(右)開会の挨拶をされる上田理 代表理事・理事長代行

研究成果報告会では、最初に本年度で終了の領域について、領域代表者の先生から成果報告の総括をいただき、その後、これまで3年間にわたって研究を進めてこられた次の3件の課題について、研究代表者の先生より成果報告が行われました。

・総括報告
  • 情報セキュリティ分野:領域名「超スマート社会の「悪」の研究」
    領域代表者 坂井 修一 先生(東京大学)
・報告された先生方
  • 狩野 芳伸 先生(静岡大学)
    「SNSにおける欺瞞とその広がりの自動検出・推測と政治学・社会学的分析および予防的介入」
  • 寺田 麻佑 先生(一橋大学)
    「サイバーフィジカル空間に顕在する「悪」とAIの「悪」に関する立法課題と対応するガバナンスシステムの研究」
  • 宮地 充子 先生(大阪大学)
    「サイバー攻撃の被害者予測システムと内部犯罪に強力な機械学習モデルの構築」

(※)同じく助成を受けられた佐古和恵先生(早稲田大学)はご欠席

続いて、本年度新たに助成を開始した領域の紹介が行われ、領域代表者の先生から領域の概要や採択課題への期待、そして助成期間中の領域マネジメント方針などについて紹介がありました。

  • 情報セキュリティ分野:領域名「情報セキュリティ経済学によるセキュリティ向上の研究」
    領域代表者 小松 文子 先生(ノートルダム清心女子大学)

今回の報告会は、本年度で終了する領域と開始した領域が共に情報セキュリティ分野であり、参加者から多数の質問がなされ、活発な議論が行われました。

成果報告および領域紹介をされる先生
(上左から、坂井修一先生(領域代表者)、小松文子先生(領域代表者))
(下左から、狩野芳伸先生、寺田麻佑先生、宮地充子先生)

領域紹介のあとは、本年度新たに助成を開始した領域で採択された4名の先生方へ目録の贈呈が行われました。

・令和7年度 情報セキュリティ分野 新規採択者
  • 松浦 幹太 先生(東京大学)「早期対策を促進するための情報セキュリティ最適投資モデルとその応用に関する研究」
  • 持永 大 先生(芝浦工業大学)「情報セキュリティ経済学を用いたインシデントの被害規模推定手法の研究」
  • 竹村 敏彦 先生(城西大学)「セキュリティ課題への対応と解決に向けたセキュリティ・エコノミクスの挑戦」
  • 満永 拓邦 先生(東洋大学)「LLMとXAI連携によるSBOM 活用:行動変容を促すセキュリティ情報と意思決定支援」

目録の贈呈

報告会と贈呈式の終了後、会場をうつして懇親会が開催されました。懇親会は、佐々木信行 代表理事・理事長の祝辞から始まりました。

祝辞を述べる佐々木信行 代表理事・理事長(左)と板生清 理事(右)

セコム財団の理事・企画委員・選考員である板生清先生からは、「本日の報告や領域紹介のなかで文理融合というキーワードがあった。これ自体は良い方向だと考えるが、文理融合が進むと理解できる人が減ってくる可能性がある。したがって、みなさんの課題が社会にとって意味があることなんだということを広く世の中へアピールしていってほしい」との激励のお言葉がありました。

ずっと盛り上がっていた懇親会

懇親会には、報告された先生、新たに助成を受ける先生をはじめ、選考員の先生方も多数出席されました。

途中で各先生から一言ご感想をいただき、「助成金の使途への柔軟な対応、選考員のサイトビジットによる外部からの支援をいただき感謝している」「セキュリティ情報が提供されても活用されない現実をなんとかしたいと考えている。考えている仮説が行動変容を促すか明らかにしたい」などと、これまでの助成の感想やこれからの意気込みが聞かれました。

最後に、上田理 代表理事・理事長代行が挨拶し、「本年度で終了する領域を開始した3年前、生成AIのchatGPTが世の中に出た。自身、当初は事業で使いものにはならないと考えていたが、今では当たり前のように使っている。本日の報告にあった「リスクと利得」ということを考えさせられる良い機会だった。当財団の設立者はセコムの創業者だが、セコムの社名はセキュリティコミュニケーションの略であり、そこには創業者の「人とテクノロジーを協力させることで新しいセキュリティサービスを作ることがセコムの役割である」という考えがある。本日の報告を聞いて、人にとって良いテクノロジーとは何かを考えて事業を進めなければならないことを、改めて認識させていただいた」との言葉で懇親会が終了となりました。

今回は、情報セキュリティ分野の先生方が一堂に会し、専門領域に関する意見交換やディスカッションが活発に行われ、交流を深めた楽しい会となりました。


前列左から、情報セキュリティ分野(超スマート社会の「悪」の研究)領域代表者の坂井修一先生、佐々木信行 理事長、上田理 代表理事・理事長代行と、後列が助成を受けられた先生

前列左から、石黒正揮 選考員、情報セキュリティ分野(情報セキュリティ経済学によるセキュリティ向上の研究)領域代表者の小松文子先生、佐々木信行 理事長、上田理 代表理事・理事長代行と、後列が贈呈を受けた先生