令和7年3月10日
令和6年度 特定領域研究助成 研究成果報告会および研究助成贈呈式を開催
3つの領域で新たな研究プロジェクトがスタート

令和7年3月10日(月)、東京都千代田区の東京會舘で、令和6年度特定領域研究助成の研究成果報告会および研究助成贈呈式が開催されました。オンラインを併用したハイブリッド開催とし、セコム財団関係者約40名が参加しました。
セコム財団の特定領域研究助成は、財団が推進したい研究領域を指定する財団主導型の助成です。その領域の研究統括を担う領域代表者が示す研究構想に沿う研究課題に支援を行っています。
当日は、上田理 代表理事・理事長代行の挨拶により開会し、最初に本年度で終了の領域について、領域代表者の先生から成果報告の統括がありました。
- 先端数理分野:「先端数理に基づく安全・安心な社会実現のための将来予測・因果解析技術の開発とその実装」
領域代表者 合原 一幸 先生(東京大学) - チームワーク科学分野:「チームワークに関する革新的な研究アプローチの確立と分野横断的研究領域の創出」
領域代表者 堀井 秀之 先生((一社)日本社会イノベーションセンター 代表理事)
(左から、合原先生(先端数理分野)、堀井先生(チームワーク科学分野)
続いて、本年度新たに助成を開始した領域の紹介が行われ、3つの領域について、領域代表者の先生から領域の概要や採択課題への期待、そして助成期間中の領域マネジメント方針などについて紹介がありました。
- 社会技術分野:「ケアの安全・安心エクイティを実現する生活セントリック・ロボタイゼーション」
領域代表者 西田 佳史 先生(東京科学大学) - 先端医学分野:「ディープフェノタイピングに基づく疾患の根本原因の解明による安心・安全な社会の実現」
領域代表者 桜田 一洋 先生(慶應義塾大学) - ELSI分野:「急速に発展するAIのリスク評価と安全と安心の確保の方策を探る」
領域代表者 宮田 満 先生(株式会社宮田総研)
(左から、西田先生(社会技術分野)、桜田先生(先端医学分野)、宮田先生(ELSI分野))
領域紹介のあとは、本年度に新しく開始された3つの領域で採択された9名の先生方へ目録の贈呈が行われました。
・令和6年度 社会技術分野 新規採択者
- 児玉 耕太 先生(星薬科大学)「ケアラーのウェルビーイング実現による持続可能な少子・超高齢社会へ」
- 伊藤 寿浩 先生(東京大学)「伴侶動物ソフトロボタイゼーションによる人・動物の見守りと住環境モニタリング」
- 下田 真吾 先生(名古屋大学)「複合感覚空間コンピューティングによる家族間での認知機能の強化システムの開発」
・令和6年度 先端医学分野 新規採択者
- 落合 博 先生(九州大学)「老化に伴う転写ノイズ制御機構の解明と能動的操作」
- 足立 剛也 先生(京都府立医科大学)「希少・難治性アレルギーの個別化医療に向けた次世代リバーストランスレーショナル研究」
- 鏡 雅代 先生(国立成育医療研究センター)「小児の成長におけるディープフェノタイプと関連ゲノム・エピゲノム異常の発症機序解明」
- 石川 文彦 先生(東京科学大学)「Deep phenotypingによる白血病多様性理解と免疫記憶を付与した細胞治療の創出」
・令和6年度 ELSI分野 新規採択者
- 槇原 絵里奈 先生(立命館大学)「AIとの共存を目指したプログラミング教育環境の構築」
- 井上 悠輔 先生(京都大学)「デジタル・パブリックヘルスにおける外見情報(visible trait)をめぐる倫理課題の検討と提案」
報告会と贈呈式の終了後、会場をうつして懇親会が開催されました。懇親会は、佐々木信行 代表理事・理事長の祝辞から始まりました。
セコム財団の理事・企画委員・選考員である板生清先生からは、「今回9名の方々にセコム財団の仲間になっていただいた。当財団の助成研究は、技術を社会にどう展開していくかを特徴としている。みなさんも、社会の役に立つこと、役に立ちそうなことをやろうという鷹揚な考えに立って進めていただきたい」との激励のお言葉がありました。
懇親会には、助成を受ける先生をはじめ、各領域の選考員の先生方も多数出席されました。
途中で新規採択の各先生から一言ご感想をいただき、「医療従事者の方々にAIやモバイル技術を実体験していただき、導入のハードルを下げていきたい」「国をはじめ多くのファンドで実用化が求められる中で、安全・安心を守るのに必要なことは社会分断を直すことと宣言した申請を採択していただき、感謝している」「研究構想に多様性という言葉があったが、まさにさまざまな研究者との出会いが今の自分をつくっている。セコム財団でもそれを期待している」「AIの影響が教育の現場に出ている。教員側と生徒側でAIの便益に対する認識の違いが大きい。セコム財団には教育の現場に立つ先生方が多くいらっしゃるので、意見を伺いたい」などと、これからの意気込みが聞かれました。
異なる専門分野をもつ5つの領域の先生方が一堂に会し、意見交換やディスカッションが活発に行われ、交流を深めた楽しい会となりました。

前列が、佐々木信行 理事長(中央)、上田理 代表理事・理事長代行(左端)、先端数理分野領域代表者の合原一幸先生(右から2人目)、選考員の先生と、後列が助成を受けられた先生

佐々木信行 理事長(中央)、上田理 代表理事・理事長代行(左から3人目)、チームワーク科学分野領域代表者の堀井秀之先生(右から2人目)と助成を受けられた先生

前列左から、上田理 代表理事・理事長代行、社会技術分野領域代表者の西田佳史先生、佐々木信行 理事長、板生清理事、選考員の先生と、後列が贈呈を受けた先生

前列左から、上田理 代表理事・理事長代行、先端医学分野領域代表者の桜田一洋先生、佐々木信行 理事長、黒田玲子理事、共同代表者の古関明彦先生と、後列が贈呈を受けた先生

前列左から、上田理 代表理事・理事長代行、黒田玲子理事、佐々木信行 理事長、ELSI分野領域代表者の宮田満先生、選考員の先生方と、後列が贈呈を受けた先生