令和5年5月25日 令和4年度 挑戦的研究助成 研究成果報告会・研究助成贈呈式を開催

5月25日(木)、東京・千代田区の東京會舘で、令和4年度挑戦的研究助成の研究成果報告会および研究助成贈呈式が開催されました。会場に来られない一部の先生のためにハイブリッド開催とし、セコム財団関係者約45名が参加しました。

当日は、目﨑祐史 代表理事・理事長代行の挨拶により開会し、最初に研究成果報告会が行われました。

セコム財団の挑戦的研究助成は、40歳未満の若手研究者による新しい領域開拓への挑戦を支援する研究助成です。研究の助成に加えて、研究の方向性の議論など、研究者の育成という面からも支援を行っております。

研究成果報告会では、平成31年度に新規採択され、これまで3年間にわたって研究を進めてこられた次の6件の課題について、研究代表者の先生より成果報告が行われました。

  • 久世 尚美 先生(大阪大学)「フォールバック制御に基づく攻撃耐性のあるマルチエージェントシステムの枠組みの確立」
  • 塩田 さやか 先生(東京都立大学)「話者照合およびなりすまし検出のためのデータ生成と選択的システム構築に関する研究」
  • 白石 泰之 先生(慶應義塾大学)「多角的生体情報モニタリングと人工知能を用いた在宅遠隔診療による行動変容研究」
  • 高橋 朋子 先生(埼玉大学)「ノンコーディングRNAによる抗ウイルス生体防御の多階層制御ネットワークの解明」
  • Nicholas Parrish 先生(理化学研究所)「感染記憶:生まれながらにして持つ抗ウイルス機構の解明」 (米国からオンラインでご発表)
  • 鈴木 秀宣 先生(徳島大学)「長期経年低線量CT画像による肺気腫の進展関連遺伝子の同定とCT画像診断との統合化」

成果報告をされる先生(左から、久世先生、塩田先生、白石先生、高橋先生、Parrish先生、鈴木先生)

各先生の発表のあとには、担当していた選考委員からコメントがありました。一部の委員は海外出張中で、早朝だったり会議の合間だったりしましたが、温かいコメントをしていただきました。

続いて研究助成贈呈式では、令和4年度に新しく採択された7名の先生方へ目録の贈呈が行われました。

  • 後藤 信一 先生(東海大学)「シャツ型心電計による患者主体の心疾患検出基盤 〜AI連合学習による医療データ活用〜」
  • 髙山 厚 先生(京都大学)「医療ビックデータの融合によるデジタルツインを利用した仮想介入試験の実現」
  • 岡田 雄大 先生(京都大学)「患者発の情報に基づくCOVID-19レジストリを活用した流行分析と予防効果推定」
  • 新村 貴博 先生(徳島大学病院)「大規模医療情報およびオミクスデータを活用したサルコペニア治療法の構築」
  • 宮本 潤基 先生(東京農工大学)「加齢性代謝疾患における腸内細菌の関与と治療基盤の確立」
  • 野澤 佳世 先生(東京工業大学)「人工細胞を利用したゲノム三次構造の立体構造解析」
  • 森永 浩伸 先生(名古屋大学)「ゲノム不安定性を誘発する環境因子による、皮膚の老化・がん化メカニズムの解明」

目録の贈呈

報告会と贈呈式の終了後、部屋をうつして懇親会が開催されました。懇親会は、佐々木信行 代表理事・理事長の祝辞から始まりました。

祝辞を述べる佐々木信行 代表理事・理事長(左)と選考委員長の黒田玲子先生

選考委員長の黒田玲子先生からは「研究が実用化につながることを願っていますが、すべて始まりはBasic Scienceからです。皆さんはこれからの人です。しっかりやってください」と激励のお言葉がありました。

異なる専門分野やバックグラウンドをもつことから、初めは少し緊張しているようでしたが、世代や立場が近いということもあり、すぐに打ち解けていました。会場には新規助成の研究内容が書かれたパネルが展示され、他の研究者と意見交換やディスカッションも活発に行われました。

約40名が参加した懇親会

懇親会では新規助成の研究内容を示したパネルが展示されました

途中で各先生から一言ご感想をいただきました。新規採択の先生からは「医学と工学を跨る研究をしていますが評価していただく場が少なかったので、今回セコム財団で採択いただき感謝しています 」「自分の研究は面接の際に挑戦的すぎないかと言われまして落ちたかと思いましたが、採択していただき感謝しています」「コロナ禍で失ったものもありますが得られたものもありまして、それが自分の研究の発想であり助成の機会でした」「研究室を立ち上げたばかりなので助成はとても助かっています。成果を出して恩返しできるよう頑張ります」「本日、他の研究者と話をして今後がより楽しみになりました」などとこれからの意気込みが聞かれました。

助成期間が終わって成果報告された先生からは「採択直後にコロナ禍により学会が軒並み中止になる厳しい状況でしたが、セコム財団でのメンタリングなどでフィードバックをいただくことができて大変感謝しております」「セコム財団を通して同じ助成研究者と共同研究を組むことができました」「助成のおかげで成果につなげられ、今春から准教授になりました」「助成金もメンタリングもありがたかったですが、一番は採択されたことです。そのときの喜びとやる気をいただけたことを感謝しています」「助成期間は終わりましたが私を助成してよかったと思ってもらうよう頑張っていきます」などと感謝と決意が述べられました。

COVID-19の影響で、成果報告された先生方は採択時に贈呈式ができず、全員が揃うのは最初で最後となりました。研究分野は違っても同世代の研究者が集まったということもあり、お互いにつながりを深めて、将来の交流の可能性を広げる貴重な機会となりました。


(前列左から)黒田玲子先生、佐々木信行 代表理事・理事長、目﨑祐史 代表理事・理事長代行、
塩見美喜子先生(選考委員)と、(後列が)成果報告された先生 

(前列左から)黒田玲子先生、佐々木信行 代表理事・理事長、目﨑祐史 代表理事・理事長代行、
塩見美喜子先生(選考委員)と、(後列が)成果報告された先生