令和5年3月13日 令和4年度 研究成果報告会・研究助成贈呈式を開催
特定領域研究助成「情報セキュリティ」分野の研究構想も披露

3月13日(月)、東京・千代田区の東京會舘で、令和4年度研究成果報告会および研究助成贈呈式が開催されました。コロナ禍の影響で一般研究助成報告会は4年半ぶりに会場での開催となりました。海外出張などで会場に来られない一部の先生のためにハイブリッド開催とし、セコム財団関係者約40名が参加しました。


開会の挨拶をする目﨑祐史 代表理事・理事長代行

当日は、目﨑祐史 代表理事・理事長代行の挨拶により開会し、最初に研究成果報告会が行われました。 セコム財団の一般研究助成は、安全で安心な社会の実現を目指し、様々な専門の先生で構成された選考委員による幅広い視点から審査を行っています。最初の1年間を準備研究と位置づけて研究の方向性を見極め、その後面接審査を経て3年間の本格研究へと進むことが特徴です。研究成果報告会では、平成30年度に新規採択され、これまで4年間にわたって研究を進めてこられた次の6件の課題について、研究代表者の先生より成果報告が行われました。

  • 東北大学・本間 尚文 先生「高安全・高信頼な情報通信のためのトロイフリーLSIシステム設計・検証技術の開発」
  • 慶應義塾大学・長谷 耕二 先生「健康長寿社会の実現に向けた新たな自己免疫制御療法の確立」
  • 群馬大学・藤谷 与士夫 先生「亜鉛によるメタボとロコモの予防:“亜鉛シグナルの理解による安心で安全な社会を目指して”」
  • 九州大学・浜本 貴一 先生「健康・安全モニタリングシステム実現のための小型呼気センシング用光集積デバイスの研究開発」
  • 東北大学・木村 祥裕 先生「複数回の長周期巨大地震動を受ける杭・超高層建築物の機能損傷メカニズムの解明」
  • 兵庫県立大学・木村 玲欧 先生「幅広いステークホルダーの防災リテラシー向上を目指す「防災・減災教育ハブ」の構築」

成果報告をされる先生(左から、本間先生、長谷先生、藤谷先生、浜本先生、木村祥裕先生、木村玲欧先生)

次に、特定領域研究助成の紹介がありました。この研究助成は、科学技術の発展をより積極的に推進するために、当財団が重点的に助成する領域を指定し、その領域の研究統括を担う領域代表者が示す研究構想に沿う研究課題に助成するというものです。令和4年度に募集・助成した「情報セキュリティ」分野の領域代表者である坂井修一先生(東京大学)が研究構想「超スマート社会の「悪」の研究」を披露されました。


研究構想を披露する領域代表者の坂井修一先生

続いて研究助成贈呈式では、一般研究助成6名および特定領域研究助成4名の新規採択者の先生方へ目録の贈呈が行われました。


目録の贈呈

祝辞を述べる佐々木信行 代表理事・理事長

約40名が参加した懇親会


懇親会では新規助成の研究内容を示したパネルに関心が集まりました

懇親会は、佐々木信行 代表理事・理事長の祝辞から始まりました。会場には新規助成の研究内容が書かれたパネルが展示され関心を集めました。成果報告をされた先生方からは「研究のしやすい助成で大変助かりました」「財団の助成で研究をジャンプさせていただきました。さらに高く飛べるよう精進してまいります。ありがとうございました」などと感想が述べられました。また、新規採択の先生からは「私の研究分野の採択は初めてだと思います。そういう分野でもちゃんと見ていてくださって感謝しております」「いまは採択された嬉しさと成果を得られるのだろうかという不安が混在しておりますが、精いっぱい頑張りたいと思います」などと意気込みが聞かれました。最後に目﨑祐史代表理事・理事長代行が「報告された先生方の成果はすばらしいものです。助成期間が終わっても、研究をさらに発展させて社会に貢献いただきたい」と挨拶して締めくくられました。

久々の対面交流となり、充実した時間を過ごせたとの声を参加者からたくさんいただき、研究成果報告会・研究助成贈呈式は大変盛況なものとなりました。


佐々木信行 理事長、目﨑祐史 代表理事・理事長代行(前列中央)
と贈呈を受けられた先生(一般研究助成)
  • 奈良先端科学技術大学院大学・林 優一 先生「サプライチェーンからフェイクチップを排除する電磁的フィンガープリント技術の開発」
  • 北海道大学・佐藤 陽祐 先生「航空機の安全・安心・安定な運航のための、気象雷モデルによる雷予測」
  • 金沢大学・西山 正章 先生「ヒト型モデル動物を用いた自閉症の神経回路の同定と治療法開発への応用」
  • 大阪大学・石谷 太 先生「がん克服社会実現へ向けたがん発生超初期プロセスの理解と予防技術開発」
  • 国立環境研究所・堀口 敏宏 先生「福島第一原子力発電所周辺の潮間帯生態系にみられる異変の原因究明」
  • 防災科学技術研究所・山下 太 先生「南海トラフ巨大地震発生・推移予測シナリオ構築に向けた超大型岩石摩擦実験による断層摩擦すべり挙動の解明」

目﨑祐史 代表理事、佐々木信行 理事長、坂井修一 先生(領域代表者)(前列左から)
と贈呈を受けられた先生(特定領域研究助成:情報セキュリティ分野)※早稲田大学佐古先生はご欠席
  • 静岡大学・狩野 芳伸 先生「SNSにおける欺瞞とその広がりの自動検出・推測と政治学・社会学的分析および予防的介入」
  • 早稲田大学・佐古 和恵 先生「権限の濫用を抑止するしくみに関する研究」
  • 一橋大学・寺田 麻佑 先生「サイバーフィジカル空間に顕在する「悪」とAIの「悪」に関する立法課題と対応するガバナンスシステムの研究」
  • 大阪大学・宮地 充子 先生「サイバー攻撃の被害者予測システムと内部犯罪に強力な機械学習モデルの構築」