東北大学 材料科学高等研究所 教授
将来的には民間企業との共同開発などを通して、産業応用の段階まで発展させたいと考えています。
また、電力需要や疾病予後など、分岐現象(パラメータの変化に伴って解の振る舞いが大きく変わる現象)に該当すると考えられる社会的課題においても、本研究で考案した方法論が広く適用されれば、安全安心な社会の実現に貢献できると期待しています。
たとえば、風を受けて揺れる植物をカメラが捉えた時、その映像データから風向や風速、雲の動きなどの気象を予測し、風力や太陽光など再生可能エネルギーの発電量を推定して需要のバランスとの最適化を行う、などです。これを実現する環境物理リザバー計算を成立させるため、数理的に理論づける作業に取り組んでいます。できる限り広い分野で活用できるように、方法論として簡明なものになるよう目指しています。
知り合いの川上英良先生が過去に採択されたときから、セコム科学技術振興財団の研究助成には関心を持っていました。環境物理リザバー計算の概念がどのような分野で適用できるのか検証したいと考えていたので、採択された時には本当にうれしかったです。
とくにありがたかったのは「広がり」を認めていただけたことです。資金の潤沢さもさることながら、交通や疾病、エネルギーなど多様なテーマに取り組むことを認めていただけたおかげで、研究を大きく発展させ、新しい研究プロジェクトの準備もできました。領域代表者の合原先生からも貴重なアドバイスをいただき、深く感謝しています。
先ほど申し上げたように、この特定領域研究助成では、幅広い研究や調査に取り組むことができます。研究者として視野を大きく広げ、よりアドバンスな研究に取り組むチャンスを与えてくれるので、是非意欲的にチャレンジしてほしいと思います。