HOME > 研究者 > 関谷毅先生 >「お母さんと胎児の常時見守りセンサーシートの開発 〜出産前から母子の安全安心に貢献する〜」(第2回)

前回は胎児の健康状態が、妊婦さんのお腹にシートを貼るだけで把握できるという研究の概要をお教えいただきました。今回は、シートがデータを収集するためのアルゴリズムの詳細、また今後の研究の展望について具体的にお伺いします。

前回のおさらいとして、胎児のリアルタイムセンシングの概要について、もう一度簡単に教えていただけますか。

現在、妊婦さんが胎児の健康状態を知る機会は通常であれば4週間に1度程度、病院で検査を受ける時しかありません。本研究で開発中の薄型電極を用いたシートを使えば、お腹に貼るだけで、胎児の健康状態を24時間把握することができます。シートがデータを収集するためのシートセンサとそこから得られる情報を“可視化する”ためのアルゴリズムは既におおむね完成しています。現在は産婦人科医師が妊婦さんに使っていただくことで、現場の声を聴かせていただいており、それによる改良、すなわちユーザビリティの向上に最大限の力を注いでいます。

アルゴリズムを完成されたとのことで、具体的にどのような仕組みになっているのか、ご説明をお願いします。

最近流行っている、ノイズキャンセリングヘッドホンをご存知でしょうか。スイッチを押せば、外界の雑音がかなりカットされ、音楽がより鮮明に聞こえるようになります。その仕組みに近いイメージです。

計測目標である胎児心電は、信号としては極小に分類されるマイクロボルトの単位です。その他の筋肉は10ミリボルト程度であり、胎児心電とおよそ1000倍近く信号の大きさに違いがあるため、通常の計測方法では、胎児心電は筋電や母体心電にかき消されてしまいます。そこで、筋電の逆位相(特定の音波・電波と真逆のもの)をシートから出すことにより、他の筋電等の胎児心電の影響を小さくします。

機械学習を用いた胎児心電図分離アルゴリズムのイメージ図
Copyright(C) SECOM Science and Technology Foundation