社会ニーズに対して、現存するテクノロジーが役に立てるにも関わらず、行き届いていない分野は多く存在します。しかし、だれも到達していない革新的な発想をすることは容易ではありません。常識的な発想から出てくることは、誰でも思いつくことができるからです。研究者には、常識にとらわれない柔軟な発想が求められます。そこで私がお勧めしたいのが、自分の専門分野と、自分の全く知らない他分野との研究を連携させることです。
研究者の間では「研究室が変われば異国のようだ」と言われるほど、分野ごとに専門用語が存在し、価値観も異なります。他分野と連携して研究することが難しいと言われる所以です。しかし、難しい道であるからこそ、開拓の余地や、やりがいがあるのではないでしょうか。いちから他分野を自分が研究するのもひとつの手ではありますが、優れた既存の研究を取り入れるほうが、より効率的です。
私は幼少期をブラジルで過ごし、7回も転校を繰り返し、日本に帰国したときには文化の違いに戸惑いました。ですが、おかげで文化的背景の異なる人と話し合い、違う価値観を受け入れることが苦ではなくなりました。これから申請される研究者の皆様には、異なる価値観を受け入れることを恐れない、積極的な姿勢を忘れなければ素敵な研究開発に結び付くと確信しています。