HOME > 研究者 > 高木康博先生 > 次世代画像入力システムを実現する高速パンチルト・リフォーカスカメラの開発(第2回)

カメラの視線移動や焦点合わせには未だに機械的機構が用いられており、対象を高速追尾し、焦点を合わせ続けることは困難です。前回はカメラの技術革新として、高速パンチルト・リフォーカスカメラについて、その原理をわかりやすくお話しいただきました。インタビュー第2回では、これまでの先生のご経歴と共に、研究を進められた際の苦労話を含めた幅広い内容についてお聞きしました。

前回のおさらいとして、高速パンチルト・リフォーカスカメラの概要について、お教えいただけますか。

ピエゾアクチュエーターの圧電効果によってパンチルト用レンズアレイに微小な動きを与えることで、従来の機械的機構よりも高速なパンチルトを実現します。ライトフィールドカメラの原理を組み込み、さらにマルチGPUを導入しているため、撮影後のリフォーカス(焦点を合わせ直す)処理をリアルタイムで実行。耐久性にも優れているため、大量生産が可能です。

現在の進捗状況としては、目標である±30°のパンチルト角での視差画像群の合成、また分散マルチGPUシステムでは、目標値である1フレームという短時間内での高速リフォーカス処理に成功しています。ですが、ホストPCからのマルチGPUアレイに対する視差画像群の分配時間が長く、課題となっています。

前回、先生はカメラではなく立体表示の研究がご専門であると伺いましたが、大学院時代から立体表示について研究されていたのですか。

はい。最初に入った研究室の先生は、立体表示において「立体視はなぜ疲れるのか」というテーマで、脳や目の分野からアプローチされていました。ただし、良い意味で放任主義的な指導をする先生でしたので、先生の研究テーマに限らず、学生はそれぞれ自由な研究をすることが許されていたのです。

私は応用物理学の出身でしたが、コンピューターをやりたいと思っていましたし、当時は光コンピューターの研究が流行していました。光コンピューターとは、光波が持つ空間的な並列性と時間的な高速性を利用したコンピューターの総称で、処理能力をさらに向上させるために、現在でも注目されている種類のコンピューターです。

そのなかでも私が研究したのはCGH(Computer-Generated Hologram)といって、ホログラムを立体表示ではなく光情報処理に用いることで、論理演算を行うという概念でした。その先生はほとんど面倒を見てくれませんでしたが「いいね、論文にしなさい」と言って下さったので、光の分野に一層のめり込んでいきました。

研究室の担当教授が放任主義的で、学生時代に自由に研究できたことが現在の専門分野に繋がった
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