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羽音をたてずに自在に飛翔する超小型飛行機の実現のための蝶の羽ばたき飛翔の解明(第1回)

京都大学

Kei Senda

それでは、具体的な研究内容についてお教えください。

本研究では、蝶の身体システムと環境システムの間で生じている相互作用の検証に取り組みました。そのために、数値計算でアサギマダラの翅の平面形状をハエやハチなどの翅の平面形状に変化させて、どのような影響が生じるかを検討しました。

その結果、翅の平面形状を変化させると、羽ばたき動作が同じでも、大域的渦の形状が変化し、浮揚する力(揚力)が減少し、飛翔に必要なエネルギーが増えて、結果的にエネルギー効率が低下することがわかりました。

翅の平面形状が渦の形成に大きく関わり、蝶の羽ばたき飛翔に影響を与えているということですか。

そうです。このことから、翅の平面形状が、翅(身体)-渦(環境)間の相互作用において重要な役割を果たし、飛翔に大きな影響を与えることを証明することができました。

科学の基礎をなすと考えられてきた要素還元主義的な観点では、翅と渦の相互作用など、サブ・システム間で生じている相互作用について十分な考察がなされていなかった。しかし、蝶の羽ばたき飛翔を理解するためには、これに目を向ける必要がある

蝶がどのようにして高いマヌーバビリティを実現しているか、そのメカニズムがよくわかりました。次回のインタビューでは、渦の評価実験や、「動的システム化の科学」の可能性などについてお伺いします。

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