もしコリバクチンが産生菌自身のDNAに結合すれば、自分が死んでしまいます。従って、自分の染色体にコリバクチンを結合させないための仕組みがあるのです。
実は、コリバクチン産生菌は、菌の中では無害の前駆体(プレコリバクチン)を作り、それを菌の外に出すときに、コリバクチンの完成体にして排出することが知られています。細胞膜を通過するときにプレコリバクチンを加水分解してコリバクチンにできる酵素を持っているのです。コリバクチン産生菌に特有のこの酵素は、ClbP酵素と名付けられています。
毒性物質の生産菌だけでなく、抗生物質生産菌も、自分が死なない仕組みを持っている。例えば、抗生物質生産菌のおよそ60%は、作った抗生物質を体外に排出する強力なポンプを持っており、細胞内の抗生物質の濃度を極端に下げていることが分かっている


