疾患モデルマウスは個体数が少ないため、収集できる実験データも少数です。それだけではデータサイエンスの材料として足りないため、障害者リハビリテーションセンター研究所が保有する、ヒトの臨床データを篠原先生から提供していただいて、解析を始めています。本研究では血中の骨代謝マーカーに着目しているため、臨床データの中でも比較的集めやすいというメリットがあるのです。
また、篠原先生の研究グループは、走行時や歩行時と同様のメカニカルストレスをヒトの足の骨に与えて、骨量の改善を図るシステムを開発しました。
メカニカルストレスとは、圧力や振動力などの刺激を細胞が受容することです。その刺激への応答を通して細胞はさまざまな機能を調節しています。つまり、加齢によって身体機能が低下した高齢者や、病気やケガ等で運動が困難な障害者であっても、骨量の増加や維持が可能になるのです。
本研究でもこのシステムを活用し、メカニカルストレスが骨に与える影響について各疾患モデルマウスで実験・検証し、骨代謝マーカーと骨量の相関関係を確かめていく予定です。
最終的には、個々の患者さんに対して、骨量の増加や維持に効果があるオーダーメイドの運動プログラムを構築できるシステムを目指します。
