本研究で開発した気象雷モデルでは、雲の中の電荷の構造を計算しており、雲をある断面で切った時の電荷の分布を描くことができます。電荷があればそれだけで雷が発生するわけではありません。帯電した雲粒が正の電荷と負の電荷に分かれて電場を持つようになり、その電場が非常に大きくなったところで中和現象、すなわち雷が起こります。気象雷モデルは、電荷の分布をもとに電場を計算することで、雷の発生条件を満たす場所を予測し、「雷がどこで何回発生するか」という情報まで示すことができるのが特徴です。
さらに、雷が発生していなくても、ある程度電荷のたまっているところに航空機が近づけば被雷します。気象雷モデルを使って電荷や電場の分布を予測することで、「誘発雷も含めた被雷がどのぐらいの危険性で起こるか」という情報を提供できると考えています。
台風が通過するときの雲と雷の様子を計算したシミュレーション結果。左図の黄色で示した部分は雷が発生するところ。右図は雲の中の電荷の分布を表しており、赤が正電荷、青が負電荷を示す。Sato et al. (2022):https://rmets.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/asl.1067



過去の落雷データを用いて気象雷モデルの検証を行い、その有用性を示すことができた。Tomioka et al. (2023):
気象雷モデルによる数値予報の結果から導出された被雷危険領域の計算例。黄色が中程度危険領域、赤が高危険領域を示す