HOME > 研究者 > 木村祥裕先生 > 複数回の長周期巨大地震動を受ける杭・超高層建築物の機能損傷メカニズムの解明(第2回)

東日本大震災で観測された長周期巨大震動や、複数回に及ぶ地震動、また地震に伴う地盤の液状化は、甚大な被害をもたらすおそれがあります。しかし、現時点では、超高層建築物の倒壊に関して、十分な対策がなされていません。 

第1回インタビューでは、複数回の地震動を受けた杭の累積損傷度の評価法や、杭の崩壊メカニズムに影響を及ぼす要因、塑性変形能力の評価法などについてお話しいただきました。第2回は、コンクリート充填鋼管杭の終局耐力の検証結果や、大型遠心載荷実験装置を用いた超高層建築物の倒壊実験などについて伺います。

まずは前回のおさらいからお願いします。

これまでに観測された地震とは異なり、近年発生した地震には、複数回・長周期地震動という特徴が見られます。にもかかわらず、その影響については十分に考慮されておらず、特に超高層建築物の倒壊に関して十分な対策がなされてきませんでした。

また、東日本大震災では、広範にわたって地盤の液状化が発生し、建物被害を引き起こしましたが、必ずしも建築物の安全を守ることはできません。

こうした現状を改善するために、私は杭に着目し、複数回の長周期巨大地震動を受ける超高層建築物の倒壊メカニズムの解明に取り組んできました。まず、杭の累積損傷度の評価方法を検討し、杭材や地盤剛性が杭の破壊や崩壊メカニズムに影響を及ぼすことを明らかにしました。また、杭頭コンクリート充填鋼管杭の終局耐力と塑性変形能力の評価法を示しました。

鋼以外の杭材だと、崩壊メカニズムに違いが生じるのでしょうか。

準備研究の遠心載荷実験で、杭材の違いが崩壊メカニズムに影響を与えることがわかりました。これを受けて、液状化地盤でのコンクリート充填鋼管杭(CFT杭:Concrete Filled Steel Tube)に着目し、崩壊メカニズムの解明と終局耐力の評価に取り組んでいます。

CFT杭にはどのような特徴がありますか?

CFT杭とは、鋼管の内部にコンクリートを充填した杭のことです。同じ太さの鋼管杭よりも大きな耐力や変形能力を備えていると考えられています。そのため、実用化に向けて設計法の確立が目指されており,将来的には超高層建築物への適用が期待されています。

しかし、鋼管杭よりも断面径を小さくし、細長比を大きくしているため、地盤が液状化した時には座屈により耐力が落ちるおそれがあります。そこで、上部構造部と杭基礎、飽和地盤から成る試験体を用いて遠心載荷実験を行い、地盤が液状化したときに破断や局部座屈,全体座屈により崩壊するCFT杭の終局耐力を評価しました。

地盤の液状化や複数回の長周期巨大地震動によって、杭や建築物にどのような破壊や損傷が生じるのかを明らかにし、また杭材の特性を正確に把握することができれば、建築物のどの部位にどの杭材を用いればよいのか判断できるようになります。

鋼管杭は安全性が高いとして、公共施設など重要度の高い施設に用いられてきた。しかし、鉄筋コンクリート杭などの杭材に比べてコストがかさむという難点がある
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