私はもともと柱や梁など建築物の上部構造の崩壊について、力学的な観点から研究していました。その過程で、上部構造で起こる破壊のメカニズムを、杭基礎などの下部構造にも適用できないかと考えるようになったのです。
その際に注目したのが、地盤の液状化現象です。液状化とは、水を多く含む地盤に地震動や衝撃が加わり、地盤を構成する土や砂の粒子が水に浮いた状態になることで起こる現象で、建物被害や地盤沈下などを引き起こします。
そこで私は、地盤の液状化によって杭にどのような力が作用し、杭の座屈(柱などに圧力を加えたときに、ある限度を超えると変形が増大する現象)や崩壊を引き起こすのかについて関心を持ち、2004年頃から研究を始めました。
