HOME > 研究者 > 井田徹哉先生 > アンジュレータ型潮流発電機の開発(第2回)

再生可能エネルギーを利用した様々な発電システムの中でも、海洋大国である日本の地の利を生かすのが、潮流発電です。東京海洋大学の井田徹哉先生は日本で初めてアンジュレータ型潮流発電機の開発に取り組み、独自の工夫を重ねて発電装置の改良を進めておられます。これまでに、発電機内部の磁界を強化し、特殊なコイルを用いることによって、発電出力の飛躍的な向上に成功されました。インタビュー第2回では、次のステップである海洋実験の展望に加えて、先生が海洋開発の研究に至った経緯や、研究スタイルについてもお話を伺いました。

前回のインタビューでは、アンジュレータ型潮流発電機の開発について詳しくお伺いしました。目標を大きく上回る発電出力を達成され、いよいよ、フランスの共同研究者と成果を共有する、という流れでしょうか。

私たちが新しい発電機の開発をしている間、フランスではDrevetさんが試験機を使って実験をしながら、日本でも実証実験を行うための準備を進めておられました。ところがその最中、Drevetさんがご病気で亡くなってしまい、残念ながら日本での実験にご本人が携わることはできなくなってしまいました。

Drevetさんが亡くなったことは本当に残念ですし、大きな痛手でした。今後の研究は私たちが引き継ぐこととし、日本に試験機を輸送してもらって、海洋実験を行う準備を進めています。

日本に届いた試験機の一部。特殊なガラスの布を何枚も重ね、エポキシ樹脂を染み込ませて強固な板を作っている

こちらがその試験機ですね。想像以上に大きな装置です。実験地は、どこを想定しておられますか。

そうですね。重さもかなりあります。まずは大きな水槽で試験運転をして、その後、実際に海で実験をする予定です。

試験地については、全国の海を調べて候補地を絞りました。発電に必要な流速が得られることは必須ですが、それだけでなく、実験のためのベースキャンプが作れて、地元の了承が得られる場所でなければいけません。こちらの希望と現地の方々のご事情とを擦り合わせることは簡単ではありませんが、時間をかけて理解を得ていくことが大事ですね。現在のところ、三重県の鳥羽湾で試験を行う予定として地元との調整を進めています。近々、小型のスケールモデルの試験を行う見通しも立っています。

鳥羽湾周辺の潮流の流速を示すマップ。漁船を傭船して流速測定を行った
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