HOME > 研究者 > 泉田啓先生 > 羽音をたてずに自在に飛翔する超小型飛行機の実現のための蝶の羽ばたき飛翔の解明(第2回)
羽音をたてずに自在に飛翔する超小型飛行機の実現のための蝶の羽ばたき飛翔の解明(第2回)

京都大学

Kei Senda

動的システム化の科学についても、様々な可能性が期待されますね。

従来の要素還元主義的な観点では説明できなかった、様々な現象の解明が進む可能性があります。もちろん、蝶の羽ばたき飛翔のメカニズムもその一つです。

それとともに、諸分野の技術の発展や新たな産業領域の創出につながる可能性があります。発展性が大いに期待され、安全・安心な社会の実現に大きく貢献しうる研究分野ではないかと考えています。

消音化のメカニズムが解明されれば、既存の製品よりも静音性が高く、冷却効率に優れたファンなど様々な研究開発につながる可能性がある

最後に、一般研究助成に申請された経緯について教えてください。

実験に必要な装置類が高額なため、それを賄うことのできる助成金がないか、いろいろと探す中でこの研究助成に出会い、その手厚さに魅かれて申請を決意しました。

他の助成制度も利用したことはあるのですが、これ程まとまった研究費をご用意頂いたことはありませんでした。この一般研究助成で潤沢な資金を受けて研究に取り組むことができ、深く感謝しております。

ご研究を進めてこられた感想と、今後の展望についてはいかがでしょうか。

採択されて研究を大きく進めることができたのはもちろんのこと、様々な重要な発見がありました。

その結果、新たに取り組みたいテーマや、検証したいトピックも多く生まれました。すべてを解明するためには時間がいくらあっても足りないほどです。本研究の成果を土台に、ライフワークとして取り組んでいきたいと考えています。

航空宇宙工学専攻・航空宇宙力学講座の学生たちと。学生たちは、シミュレーションや実験用のロボットの作成など、それぞれの得意分野を生かして研究に参加している

蝶の飛翔メカニズムの解明が、羽音を出さない高いマヌーバビリティを備えた超小型飛行機の開発や、新たな研究領域の創出につながり、安全・安心な社会の実現が近づくことを心から願っております。長時間の取材にお付き合いいただき、ありがとうございました。

Copyright(C) SECOM Science and Technology Foundation