HOME > 研究者 > 角田篤泰先生 > 法令工学に基づく法令作成・検証の基盤構築(第2回)

このシステムは、まさに法学と情報学の両方に精通している先生にしか作れないものです。

誰もやっていない研究は成功するかどうか分からないものですから、社会的な必要性を説明しても、理解や支援を得ることは困難です。今回、セコム科学技術振興財団の研究助成に採択されたことは、私にとって大きな喜びでした。

セコム株式会社の創始者である飯田亮先生の著書は、私の愛読書です。セキュリティ(警備)がビジネスになるとは誰も考えていなかった時代に、信念をもって日本で初めての警備保障会社を創設され、セキュリティ分野で日本を代表する大企業へと成長させた飯田先生を、私は心から尊敬しています。

セコム株式会社というイノベーションを実現した組織が創設した、セコム科学技術振興財団だからこそ、他の助成制度では採択されにくい珍しい研究や変わった研究にも目を向け、費用面の支援だけでなく、研究が発展できる方向に導いてくださっていると感じ、感謝しています。

「人工知能の冬の時代」であっても、その必要性を信じて諦めず研究を続けてきたからこそ、認められたことへの喜びが深いのですね。

飯田先生がいろいろな場面でおっしゃる「貫く」ことが後押しとなり、私の研究はマイナーな分野ではありますが「セコム科学技術振興財団から研究助成を受けています」と胸を張って言えることに、大きな勇気をもらっています。

この研究は、私のこれまでの人生そのものといっても過言ではありません。

法の世界では結論だけではなく「なぜその結論に至ったのか」という過程が重要です。この先、あらゆる問題が今注目されているブラックボックス化された深層学習のような方式で解決できるようになったとしても、その結果が正しいことを証明するためには、この研究のような論理的なアプローチも不可欠です。

今は、研究者がやりたい研究に邁進できる環境が整っていません。若手であればなおさらです。だからこそ、2年前に若手研究者向けの挑戦的研究助成制度が始まったと聞いたときは、とても嬉しく思いました。成功するか分からない夢のような研究でも、社会にとって必要な研究であれば、これからも支援し続けていただきたいです。

「セコム科学技術振興財団に研究内容を認められたことで、研究者として大きな安心感を得た」と嬉しそうに語る

先生の「人生そのもの」であるこのご研究が、日本全国の自治体から、やがて全世界に広がり、安全・安心の社会づくりに大きく貢献されることを願っています。長時間の取材にご協力いただき、誠にありがとうございました。

Copyright(C) SECOM Science and Technology Foundation