HOME > 研究者 > 猿渡洋先生 > 高次統計量制御スパース信号表現に基づく協創型音響センシング及びその社会システム応用(第2回)

来年以降の研究方針について、教えてください。

今後は実証実験を増やしていきます。大学の閉ざされた研究室の中だけで、理論の完成はあり得ません。現場に出ることで、初めて新たな問題点が明らかになります。そして、その問題点を研究室に持ち帰って研究し、また現場に出ていく。その繰り返しなのです。

もともと音情報は、画像や動画よりも「状況や雰囲気」といった豊富な情報を死角なく伝達する優れたメディアです。この特性を活用することで「従来型の補聴器の改善」「安価な音センサを大量に散布して生存者を救出」など、安全安心に貢献するさまざまな社会システムを創出することができるようになると考えています。

震災国日本から本研究を提案することは、非常に有用性が高いと言えますね。

私達は、この分野で世界のトップランナーであるという自負があります。近年、フランスの研究グループをはじめ、音響信号処理分野の研究に対する国際的な関心が高まっています。こうした状況を鑑みても、私達は世界に先駆けて、研究を加速させていく必要があるのです。

それでは最後に、これから申請を目指す研究者の方々と、セコム科学技術振興財団に対するメッセージをお願いします。

セコム科学技術振興財団からいただいている助成金額は、さまざまな団体の中でもトップクラスです。これは、民間の助成財団としては異例中の異例の規模です。

ですが、現状では国内の有能な研究者の方々に対して、まだまだ認知されていないように思えます。助成を受けた先生方が活躍されることで、本研究助成がさらなる広がりを見せ、安全安心な社会システムが実現していくことを願っています。

猿渡先生が「学生の頃から優秀だったので目を付けていた」と語る、東京大学助教 高道慎之介先生(写真右)

ILRMAが実用化され、音メディアのさらなる活用法が見出されることを楽しみにしております。長時間のインタビューにお答えいただき、ありがとうございました。

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