所属
鹿児島大学学術研究院 理工学域工学系

職名
准教授

キーワード
実世界モデリング 複数ロボット協調制御 知能ロボット

助成期間
平成29年4月─平成32年3月

研究室ホームページ
2010年3月

名古屋大学大学院 工学研究科 マイクロ・ナノシステム工学専攻博士課程修了


同年4月

筑波大学大学院システム情報工学研究科 グローバルCOE 研究員


2012年4月
名古屋大学大学院工学研究科 研究員

2013年4月
青山学院大学理工学部情報テクノロジー学科 助教

2017年10月
鹿児島大学学術研究院理工学域工学系 准教授 (機械工学専攻)


飛行機からロボット工学の道へ

小さい頃から工作が好きで、飛行機の製作に関わる勉強をしようという希望を胸に、名古屋大学に入学しました。研究室選択の際には、より身近なところでアイデアを具体化しやすいロボット工学の分野に進むことにしました。研究室では様々なことを学びましたが、教授には企業との共同研究発表や国際会議発表などの貴重な経験をさせてもらい、その過程で自分のアイデアが他人に認められた時の快感を知ることができました。自由な発想で研究をすすめるというモットーはこれからの研究室作りの1つの目標です。博士課程では自律ロボットの研究に携わり、そのころから自律ロボットを大衆化するには新しい「位置推定技術」を確立しなければならないと考えていました。

博士課程まで複数の自律型ロボットの協調制御を研究していたと語る高橋先生

現状の位置推定技術では、一般的な使用が難しい

近年、少子化や高齢化を背景とした労働人口の減少、サービス業の質の低下が社会問題となっています。そこで、労働力を直接的に代替し、資源と需要の両方を鑑みて効率的なサービス提供を可能にするIoT技術が注目されるようになりました。特に、産業用の知能ロボットは、限定的な環境、たとえば自動車や半導体の生産工場などにおいては“環境の作り込み”がしやすいため、人の手を借りない完全な自動化が達成されています。

しかし、物品輸送など“ロボット自身の移動”を伴うようになると、周囲の環境や、同様に動くロボットとの接触を避ける必要があるため、高い精度の自己位置推定技術が求められます。

現状の移動体の位置推定技術を大きく分けると、移動体に設置されたセンサのみを利用して位置推定を行うSimultaneous Localization And Mapping(SLAM)技術と、環境側にセンサなどを設置する環境構造化による方法の2つがありますが、どちらにも弱点があります。

SLAM技術は自動車の自動運転などにおいて実用化の段階にありますが、高価なセンサや高度な演算処理装置が必要になります。また、環境構造化による方法として、搬送台車の経路にガイドやマーカを設けるAutonomous Guided Vehicle(AGV)技術が利用されていますが、これにも問題点があります。たとえばAmazonが買収・導入したロボット物流システムのKiva Systemsにおいては、多額の人件費が削減可能です。ですが、ロボットが動く床には、大量の視覚マーカを埋め込む必要があり、大企業のような大型物流倉庫でないと、コストに対してペイできません。

位置推定技術を大衆化するには、まったく新しい概念が求められる