所属
大阪大学 大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻 社会システム数理領域

職名
助教

キーワード
サイバーフィジカルシステム ネットワーク セキュリティ

助成期間
平成31年4月~

研究室ホームページ
2016年3月

大阪大学大学院 情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 博士後期課程修了 博士(情報科学)


2016年4月

大阪大学 大学院 情報科学研究科 特任助教


2018年5月

大阪大学 大学院 基礎工学研究科 助教



父親の影響でコンピュータに関心を持つ

父が新しい物好きだったため、小学生の頃から、当時としては珍しく自宅にコンピュータがあり、私も関心を持っていました。親が使っていない時によく触っていましたし、中学生の時にはコンピュータ関連のクラブに所属していました。プログラムなどを作るところまではいかなかったのですが、コンピュータを扱うことが楽しかったのです。

大学でもコンピュータ関連の知識を学びたいと考えて、情報科学学科に進学しました。特に自律分散制御に関心を持ち、研究するようになったのですが、これが現在のマルチエージェントシステムのセキュリティに関する研究につながっています。

「父の Windows 95が、この分野に足を踏み入れるきっかけ」と語る久世先生

false injection攻撃への耐性を備えたマルチエージェントシステムの枠組み構築を目指す

近年、実世界のフィジカルシステムの情報をサイバーシステムがネットワークを介して収集、蓄積し、フィードバックを行う「サイバーフィジカルシステム」が急速に発展し、重要な社会基盤となっています。その中で注目を集めるようになったのが、マルチエージェントシステムです。

エージェントとはネットワーク上を移動するソフトウェアであり、マルチエージェントシステムは、自律分散的に動作する複数のエージェントが互いに協調しながら働くシステムのことで、ドローンの編隊飛行などに応用されています。

その一方で、フィジカルシステムをターゲットにした攻撃が深刻化しています。中でも、サイバーシステム─フィジカルシステム間の通信を改ざんするfalse injection攻撃は、システムの不正利用や機能停止・破壊を招くため、その対策は非常に重要です。ただし、フィジカルシステムには産業施設や車両等、人々の生活に大きく関わり、急停止すると危険なものが含まれるため、セキュリティは攻撃の検知だけではなく、安全性と可用性の確保が求められます。

そこで、攻撃を受けてもシステムが安全な制御に切り替わることで、継続的に作動できる仕組みを作りたいと思い、「フォールバック制御」の導入によるマルチエージェントシステムのセキュリティ向上に取り組みました。

フォールバック制御を導入したマルチエージェントシステムのイメージ図

通常時は、リモート制御器がネットワークを介して、マルチエージェントシステムの状態の観測・制御を行います。攻撃検知器が異常を検知すると、ただちに切替器がネットワーク通信を遮断、ローカル制御に切り替えることで、攻撃による被害を抑えつつ、最低限の機能を維持するという仕組みです。