所属
大阪大学大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 セキュリティ工学講座

職名
助教

キーワード
符号理論、暗号、情報セキュリティ

助成期間
平成29年4月─平成32年3月

研究室ホームページ
2014年3月

筑波大学大学院システム情報工学研究科(博士後期課程)リスク工学専攻修了


同年 4月

大阪大学大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 セキュリティ工学講座 助教



祖母の夢がキッカケで、パソコンに触れた

情報分野に進んだキッカケは、小学生のころ、祖母が「パソコンを買う夢を見た」と言って電気屋に行き、我が家にパソコンがやって来たことです。当時はまだ一般家庭に普及していなかったため、とても嬉しかったことを覚えています。

その後、高等専門学校の電気工学科に進学し、暗号の研究室に入りました。暗号の基本は数学理論であり、例えるなら「閃くまで300日、閃いてからは3日」というくらい、トライ・アンド・エラーの繰り返しです。数学は得意ではなかったのですが、論文を読み、机にかじりついて研究をするうちにどんどん興味が深まり、必死に勉強をして大学院まで進みました。

今は大学で教える側となり、学生たちの興味に応えるため、ビッグデータの秘匿分析や、安全なIoTネットワークの構築、セキュア設計など、社会で注目されている応用技術の研究にも幅広く取り組んでいます。

私にとって学生との会話は、新たな課題を発見する貴重な機会です。

ある日、スマードグリッドの仕組みが話題にのぼり、自分がこの領域のセキュリティについて今まで触れてこなかったことに気づきました。そこで、今回の研究プロジェクトを立ち上げたのです。

教職の醍醐味は、学生との会話から新たな課題を発見できること

スマートグリッドの利活用に不可欠なセキュリティとは

スマートグリッドとは、電力の事業者と消費者をネットワークで繋ぎ、需要と供給をリアルタムで把握することにより、無駄のない送電を行う次世代送電網です。この技術を応用することで、さまざまなサービスが実現可能になります。

たとえば、外出先での電気自動車の充電サービスは、現在はガソリンスタンドと同様に、ユーザが利用のたびに電気料金を支払っています。スマートグリッドのネットワークを活用すれば、利用履歴の一元管理、および電気会社からの一括請求が可能になります。ユーザは現金やICカードを用意する手間が省け、サービス提供者はデータ保管などの管理コストを削減できるのです。

ただし、利用履歴の中にはユーザの個人情報が含まれています。そのため、安全に運用するためには、次の3つの課題をクリアする必要がありました。

  • 利用履歴の偽造が不可能であること(偽造不可能性)
  • ユーザがサービス利用の事実を否認できないこと(否認不可能性)
  • サービス管理者が結託しても、利用履歴から個人を特定できないこと(リンク不可能性)

 私たちは1年目に、これらを実現する“トークン依存型リンク制御可能グループ署名”を設計しました。